テレワークで部下が何をやっているか把握できない…
テレワークだと管理職は不要なの?役割が果たせていないかも
テレワークで部下の管理や評価が難しくなった
目次
1.テレワークにおける管理職の悩み
2.テレワーク導入前後の違いを理解する
3.部下を中心にした3つの柔軟な働き方とは
4.テレワークで管理職が気を配るべき3項目
5.テレワークでの人事評価チェックポイント
1.テレワークにおける管理職の悩み
2020年の春、新型コロナウィルスの影響をきっかけとして、民間企業は本格的にテレワークに取り組む方針に切り替えるところが出てきています。
何故かと云えば、日本の民間企業は、異常事態であれ、社員が会社へ来ようが来まいが、雇用を守り、生産性を上げて企業運営を存続させていく責務があります。
テレワークを実施している企業に所属し、この記事を読んでいる上司の方は、管理する部下が抱える業務に、不透明さを感じています。確かに、以下の調査でも傾向があらわれています。
部下はというと、上司や同僚の様子の不透明さを、上司ほど気にはしていないようです。
対象:全国でテレワークを実施する上場企業の管理職333人、20歳以上の正社員553人(2020年4月・Unipos社調べ)
テレワーク開始前と比較して、「部下の仕事ぶりが分かりづらい」と回答した管理職が56.1%、「上司や同僚の様子が分かりづらい」と回答した一般社員は48.4%。「新型コロナウイルス感染症が収束した後も、会社にテレワーク推進を望みますか」という質問に「とても望む」と回答した管理職が56.1%、一般社員が41.0%。
歴史が古い会社組織ほど、部下とは面と向かい合い、仕事ぶりを把握するのが管理職の力量と云われてきました。
そのため、物理的に部下が見えないテレワークでは、部下を評価する基準が奪われ、その職責が果たせていない焦りを感じているのかもしれません。
対象:インターネット調査で、全国の従業員数5名以上の企業に勤める、直近1カ月以内に週1日以上テレワークをした一般社員、直近1カ月以内に週1日以上テレワークをした部下のいる管理職、20歳から59歳の男女300人(一般社員150人、管理職150人)(2020年4月・あしたのチーム調べ)
テレワーク時の人事評価が難しい理由1位「勤務態度が見えないから」72.6% テレワーク時の部下の人事評価は「オフィス出社時と比べて難しい」73.7% テレワーク時に管理職が部下に関して不安を感じることの1位「生産性が下がっているのではないか」48.0%、同率2位が「報連相をすべき時にできないのではないか」、「仕事をサボっているのではないか」32.7%。
部下は「ストレスがなく気楽」で、管理職は人と会う機会が減り「さみしい」というように意識差があるようですが、読者のあなたはいかがしょうか。
一般社員は「テレワークをしてみて感じたこと」1位が「人間関係のストレスがなく気楽」36.7%、2位「仕事態度に緊張感がなくなった」28%。
管理職の回答1位「通勤時間がない分、読書や勉強などスキルアップの時間が持てる」37.8%、2位「人とのコミュニケーションがなくてさみしい」30.6%。
ところが、このままテレワークを望んでいるのは管理職に多そうです。
なぜなら、管理職は「ハンコ」押印業務以外は、オフィスでおこなう実務が無く、オフィス出社は不要です。少しアイロニーを込めて云っています。
しかし部下は、実務担当者として、オフィスに設置されたその企業独自のハードを使う必要があるためでしょう。
なんとなく、上司と部下に、テレワークによる業務について、意識の差があることが分かっていただけたでしょうか。
では、管理職の存在意義、役割を果たすための打開策はどのようなものでしょうか。
テレワークという、会社、管理職、部下が、遠隔でしか繋がらない環境で、具体的に何に気を付けて部下と向き合うと良いでしょうか。
2.テレワーク導入前後の違いを理解する
結論から云いますと、テレワーク導入前の管理姿勢は、すべて見直しましょう。
何故かと云えば、オフィスで仕事することが前提ではなくなったからです。
テレワークで重要なのは、管理職である上司は、組織で求められる生産性を上げる人、または評価対象の部下を中心に、業務体制を施しリードする役割が求められます。
テレワーク導入前:
ハンコをもらうためにいオフィスへ行く、そのために通勤する、そのために公共交通機関や車に乗る行為が仕事の一部でした。
そのため、生産性を上げる能力が充分に発揮できず後回しになり、時間や疲労が、本来の目的達成を妨げる要因となっていました。
テレワーク導入後:
上で述べた生産性向上を妨げる要因がほぼ無くなりました。
管理職であるあなたが具体的にすべきことは、働き方が「部下中心」に変わったか、見直す必要があります。
3.部下を中心にした3つの柔軟な働き方とは
その1:セキュリティが確保された作業環境の拡充
VPNなどで社内の情報システムにつながるパソコン貸与、GPSが機能する携帯電話貸与によって、行動管理がおこなえ、管理職業務を支援します。
注意点:上司は、部下が就業時間外のパソコン、携帯電話の電源をオフにし、在宅でのプライベートの確保と時間管理をするよう促します。
その2:部署コミュニケーション
上述貸与ツールを活用し、オンライン会議を週1回、または、業務状況によっては一定時間常時接続により上司と部下、あるいはチーム間で同じ空間をシェアし、自然に話し合える環境を整備します。
その3:可視化した管理手法
部下にメールや共有サーバーで個人目標、日報記録をアップロードさせ、書類の共有と可視化、さらに、部下の承認欲求に柔軟に応え、いつでも指示や指導ができるようにします。
4.テレワークで管理職が気を配るべき3項目
報連相を具体化する
テレワークでは表情が伝わりません。そのため真意理解が困難になりがちです。
したがって、行動計画、報告などは具体的にどうするかについて、管理職自身の持つイメージを明確に示し、部下と決めて、サーバーなどで共有するようにしましょう。
チームを意識づける
テレワーク環境では、互いの状況が共有されにくく、仕事を抱え込んでしまいます。
任せたとはいえ部下を孤立させてはいけません。
仕事は個でなく、チーム・組織で進行させているという意識づけが大事です。
テレワークが続けば続くほど、孤独感が増幅し、メンタル面で仕事に支障が出る場合があるため注意が必要です。
ウェブを活用し、顔を見せ合う会議は、このような状況を、未然に防ぐためにも手段として有効です。
通常の会議同様に、業務進捗報告や、部署内での相談、話し合いを活性化させましょう。
行動計画に責任を持たせる
任せた仕事は部下に責任感を持たせ、目標達成までの行動管理が常時チェックできるようリストで明確化し、上司が閲覧可能な共有サーバーで管理させるようにしましょう。
5.テレワークでの人事評価チェックポイント
- 期間を決めた個人目標が明確になっているか
- 経験値やスキル×仕事の割り振りが適切か
- 問題解決に積極的に対応したか
<まとめ>
部下を中心に、仕事を回していくための方法と、それらを管理職は支援するという大きな役割について説明してきました。
このように、テレワークにおいて、これまで同様、管理職として果たすべき役割は、経営として、止めることができない生産性の向上にとって重要です。
いかがですが。一気に変えるのは至難の業です。
少しずつ、計画的に進めましょう。
たった今から、6ヶ月くらいで体制が整うのが理想的です。
しかし、部署異動、仕事の担当替えなどを考慮しながら、1年以内の完了が目安です。
とはいえ、あなたなりの「工夫」、「やり方」もあるはずです。これまで述べたことを参考にしながら、日々の業務に役立ててくだされば幸いです。